[English follows Japanese]
フランスに本社を置く超伝導方式の量子ハードウェア企業 Alice&Bobが、理研の中村泰信氏を含む4名の量子技術顧問を新たに迎えた。4名は以下の通り。
Daniel Gottesman(ダニエル・ゴッテスマン)氏
David DiVincenzo(デビッド・ディヴィンチェンゾ)氏
John Martinis(ジョン・マルティニス)氏
中村泰信氏
量子技術顧問を迎えた背景
Alice&Bobが外部から量子技術顧問を迎えた理由は、正しい方向に進みながら長期的なロードマップ通りの高性能な量子コンピュータ実現を目指すためである。客観的な外部の視点を取り入れ、場合によっては量子技術顧問らからの厳しいフィードバックを得ることにより、同社の技術を分析修正することを念頭に置いている。
また、Alice&Bobの技術部門は研究課題を解決するために以前から月に2回、Cat Qubitの第一人者5名で構成される専門の技術顧問らとの会合を重ねている。そのため、今回の量子技術顧問らは次に取り組むべき科学的マイルストーンの優先順位付けを可能にするための高度な議論をすることに重点が置かれている。
量子技術顧問4名の略歴
- Daniel Gottesman(ダニエル・ゴッテスマン)博士
Gottesman-Knillの定理で知られる博士は、量子エラー訂正符号を使用することにより、ノイズが多くエラーを起こしやすい量子システムを訂正するための特定の技術とアーキテクチャを使用すれば、FTQC(誤り耐性量子コンピュータ)を実現できることを初めて証明した。
- David DiVincenzo(デビッド・ディヴィンチェンゾ)博士
1996年にIBMの研究者として、今日でも量子コンピュータと呼べるものを定義する5つの最小要件である "DiVincenzo Criteria(ディヴィンチェンゾ基準) "を初めて公式化した。
- John Martinis(ジョン・マルティニス)博士
2019年に発表されたGoogleの量子超越論文の筆頭著者。
- 中村泰信博士 理研RQCセンター長
超伝導量子ビットの生みの親の一人である。超伝導量子コンピュータの基本素子となる超伝導量子ビットを1999年に世界で初めて実現。
各者のコメント
中村泰信 (理研RQCセンター長)氏
「Alice&Bobは超伝導量子コンピューティング技術をアーキテクチャーとデバイスの両レベルで発展させるための独創的なアイデアを持っています。将来への道筋についてチームと議論できることを楽しみにしています。」
John Martinis(ジョン・マルティニス)氏
「Alice&Bobは量子誤り訂正の新しいアプローチに取り組んでいるので、これは真剣に研究する必要がある。」
David DiVincenzo(デビッド・ディヴィンチェンゾ)氏
「Alice&Bobは量子誤り訂正の非常に斬新なアプローチを開発しました。私たちのアドバイスが、他に類を見ない高性能な量子コンピュータの実現に貢献できればうれしく思います。」
[補足]
Alice & Bob
理研RQC
中村泰信 (理研RQCセンター長)氏
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