[ Chart Showing Quantinuum’s Progress in Improving Its Quantum Volume Metric. Credit: Quantinuum ]
Quantinuum はこれまで量子ボリューム (QV) で 8,192の記録を持っていたが、今回の H 1-1イオントラップ量子プロセッサで QV 32,768 (215) と4倍に増やした。これは、15量子ビットの回路で、ゲートの深さが 15であることを意味している。QV は、量子ビットの数だけでなく、品質などを含めて量子プロセッサの指標とするべく、IBMが開発したもの。プロセッサの性能測定に提案された唯一の指標ではないが、具体性を持つものであり、見栄えを良くする目的でソフトウェアやハードウェアを作成することは困難だと言える。
Quantinuum のチームは、数年前からH1プロセッサの性能を向上させ続けている。リミッターは、利用可能な総量子ビット数ではなく、単一量子ビット忠実度、2量子ビットのゲート忠実度、状態の準備と測定(SPAM)の忠実度などの要因によって測定される量子ビットの品質である。最新の改良点は、レーザーの位相ノイズ低減と、メモリエラー率とキャリブレーションプロセスの改善によりもたらされた。これには、システムのすべてのレベルにわたり、詳細に注意が必要となる。同社はまた、量子ボリュームの改善とともに優れた忠実度測定も報告しており、単一量子ビットゲートの忠実度は99.9955 (8) %、2量子ビットゲートの忠実度は99.795 (7) %、SPAM は99.69 (4) %であった。
チームは、H1 プロセッサのさらなる改善に取り組み続け、今年後半には QV測定値 65,536 (216) 、場合によっては131,072 (217) を達成したいと考えている。H1 のチップは、最大20個の量子ビットを搭載できるので、ノイズやゲートエラーなどの制約がなければ、100万(220)を超える QVが可能になるかもしれない。ただしこのことは、おそらく H1での問題である。Quantinuum はより高度な H2プロセッサにも取り組んでおり、H1プロセッサが技術的限界に達したとしても、歩みを止めることがないことは覚えておきたい。
Quantinuum の新しい QVレコードについては、同社のWebサイトに掲載されているニュースリリース を。また、より詳細はブログ記事 で確認することができる。
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原記事(Quantum Computing Report)
https://quantumcomputingreport.com/
翻訳:Hideki Hayashi
Quantum Business Magazine @qbm 米国のQuantumComputingReportからの翻訳記事にオリジナルの量子業界の記事を加えてお届けしています。 quantumbizmag